このブログは、自社のCMS「writeWired」のサイトを、AIと一緒に作り直してきた記録です。この記事の作業は、2026年8月5日と6日の2日間で、Claudeと進めました。
やりたかったこと:製薬案件に共通する処理を、検討する人向けにまとめたい
writeWiredは、製薬会社の医療従事者向け会員サイトで多く使われています。案件ごとに会社は違いますが、どの案件でも必ず出てくる処理があります。会員データの移行、会員が本当に医師かどうかの確認、会員限定ページの閲覧制御、メールの配信と停止、ログの受け渡し。
これを、医療従事者向けサイトを検討している人が読める形にまとめたいと考えました。導入時にこうした流れを説明すると、お客さんはかなり安心します。それなら最初から公開しておけばいい、という発想です。
問題は、何をどの順で、どの粒度で並べるかでした。頭の中にはあっても、形になっていません。
こうやってみた:AIに担当者の役で質問させ、私は答えるだけ
AIの質問に、思いつくまま答えた
この形は、少し前にも使っていました。そのときは、私が書き直す記事ごとに、Claudeに「なぜそう作るのか」を聞き出す質問をさせました。今回は違います。書く記事も目次もまだありません。Claudeに、医療従事者向け会員サイトの構築・リニューアルを検討している製薬会社の担当者の役をさせ、ゼロから質問させました。
最初の質問は、こうでした。
最初に一番広いところから。製薬会社から医療従事者向けサイトの案件が来たとき、どの案件でも必ず要件に出てくるもの——「製薬ならこれは絶対ある」と最初から織り込んで見積もる処理・仕組みは何ですか。思いつく順で構いません。
私は、頭に浮かんだことを断片的な箇条書きで返しました。会員移行、リニューアルの告知、代行登録、医師の確認。整理はしていません。次の質問の前に、「Webセミナー」「medパス連携」「利用規約の確認」「PDFのアクセスログ」といった思いつきも並べておきました。
そこからClaudeが、一つずつ掘り下げてきます。たとえば、こんな質問です。
「medパスでログイン」から戻ってきたとき、自社の会員データとどう紐づけるんですか。
このお知らせ量産、運用側はどう回してるんですか。改訂が出るたび担当者が管理画面で1件ずつ登録?それともCSVで一括?
答えるとまた次の質問が来て、17問で全体が出そろいました。Claudeはそれを、目次案に組み立てました。
メモは取っていない
この2日間、私はメモを取っていません。やり取りはチャットの質疑応答だけです。話したことは全部チャットに残っていて、Claudeがそれを整理し、最後には問答の文章に仕上げました。議事録も、下書きのファイルもありません。
コンテンツをゼロから作るとき、一番重いのは書くことより、形を決めることです。何をどの順で、どの粒度で並べるか。今回は、それを質問に答えるだけで進められました。
こうなってしまった:目次の質問が、私の答えへの聞き返しになっていた
答えを知っている人しか、こうは聞けない
翌日、目次を問いかけの形に直して読み返すと、質問の意味が分からないものがありました。
たとえば、メールの配信停止の項目は、最初こういう質問になっていました。
配信が「止まる」のは何段階?
私はインタビューで、メールが止まる仕組みは三段階ある、と答えていました。この質問は、その答えを聞いた人だから出せる質問です。これから検討する人が、ゼロから「何段階?」とは聞きません。
ほかにも、私が答えの中で使った言葉が、そのまま質問に入っていました。「データを使って運用を作るとは?」という項目は、私が説明したこともない考え方について、説明済みのように聞いています。
原因:目次の質問を、答えから作っていた
私が気づいたのは、目次の質問が全般的に、私の回答に対しての質問になっている、ということでした。
目次の質問は、Claudeがインタビューの答えを読んで作ったものです。答えから逆向きに質問を作ると、質問は答えの言葉と構造を前提にします。「何段階」も「とは」も、答えの側にある言葉でした。
一方で、インタビューのときにClaudeがしてきた質問には、違和感がありませんでした。「自社の会員データとどう紐づけるんですか」「運用側はどう回してるんですか」。答えを知らない、検討する側の立場から出た質問です。目次に必要な質問は、最初からそこにありました。
だからこうしてみた:インタビューの質問の言葉で、目次を作り直した
消えかけていた質問を、チャットから戻した
作り直すには、インタビューのときの質問の原文が要ります。ところが、Claudeがインタビューの内容を整理したファイルには、質問の原文が残っていませんでした。整理のときに「Q1. 必ず出てくる処理」のような要点に縮めていたのです。私は「これ保管価値あるね。インタビュー時の質問も保管して、あとで役立てた方がいい」と伝え、Claudeがチャットの記録から17問の原文を取り出して、別に保管しました。
読者がゼロから言える言葉にそろえた
この原文を手がかりに、目次の質問を一つずつ直しました。決めた基準は一つです。質問には、読者がゼロから言える言葉だけを使う。答えの構造(何段階あるか、何種類あるか)は、答えの側で明かす。
直した例です。
| 直す前 | 直した後 |
|---|---|
| 配信が「止まる」のは何段階? | メールの配信停止はどうなっていますか? |
| データを使って運用を作るとは? | 何か参考になるTipsはありますか? |
ログの項目も、答えの言葉を使った質問から、「ログを社内のシステムで使いたいのですが」という要望の形に変えました。検討している人が実際に口にする形です。質問は「〜ですか」「〜したいのですが」の丁寧な形にそろえました。
答えは、私が経験で答えられる内容です。一つの質問に短い答えで完結するので、見せ方はFAQと同じにしました。一覧には質問だけを並べ、1問1ページで答えます。
その後
「医療従事者サイトに必要なこと」は、7つの節、19本の問答として公開しました。作り直した日のうちに、製薬会社の導入事例のページの下にも一覧を差し込みました。
いまも、たとえば最初の節はこうなっています。
- 節:サイトをリニューアルするとき、いまの会員は?
- 質問:いまの会員データは、そのまま引き継げますか?
- 質問:リニューアルすることを、会員にはどう知らせればいいですか?
今回の作業で分かったこと
形が決まっていないなら、AIに質問させて答えるほうが早い
何をどの順で並べるかが決まっていない段階で、一人で書こうとすると、まず形を決める作業で止まります。今回は、AIに検討する人の役で質問させ、私は答えるだけでした。17問で全体が出そろい、目次案までできました。メモを取らなくても、チャットの記録がそのまま材料になります。
読者向けの質問は、答えから作らせない
目次の質問が分かりにくくなった原因は、答えから逆向きに質問を作ったことでした。答えを読んだあとに作る質問は、答えの言葉を前提にします。読者は答えを知らないので、その質問の意味が分かりません。
読者向けの質問は、答えを知らない立場で発した質問から作る。今回なら、インタビューでAIがした質問がそれでした。この形式を試すなら、「目次の質問は、インタビューでした質問の言葉で作ること」を、最初の指示に入れておくことをおすすめします。私は入れていなかったので、作り直しになりました。
インタビューの質問は、答えと同じくらい保管する
質問は、答えを引き出したら用済みに見えます。でも今回、目次を直すのに一番役に立ったのは、その質問でした。整理の段階で要点に縮めてしまうと、読者がゼロから発する言葉が消えます。AIに質問させて答える形で作るなら、質問の原文もそのまま残しておく。それが、あとで読者向けの言葉を作るときの元になります。