前回までのあらすじ
導入事例から検討者向けのコンテンツを抽出しようとして、書けませんでした(第9回)。代わりに、writeWiredの開発の考え方を手で書いた「設計リファレンス」に着地しました。
今回は、その下に第2のシリーズを作った話です。製薬会社の医療従事者向けサイトには、どの案件でも共通して出てくる処理があります。会員データの移行、医師であることの確認、閲覧の制御、メールの配信と停止。これを「医療従事者サイトに必要なこと」というシリーズにまとめて、公開しました。全体で19本です。
作り方は、第8回でやった型の再演です。AIが検討する側の役になって質問し、私が答える。今回わかったことを書きます。
箇条書きを渡すだけで、形になっていく
始め方は雑でした。頭に浮かんだことを、断片的な箇条書きでAIに渡しただけです。「会員移行」「医師の確認」「Webセミナー」——思いつく順で、整理もしていません。
そこからAIが、製薬会社の担当者の立場で質問してきます。私は答えるだけ。答えるとまた次の質問が来て、17問で全体が出そろい、AIが目次案まで組み立てました。
コンテンツをゼロから作るとき、一番大変なのは書くことではなく、形を作ることです。何をどの順で、どの粒度で並べるか。それを自分で決めながら書くのがどれだけ重いか、逆に、質問に答えるだけで進む今回がどれだけ軽いか。両方を再認識しました。
もう一つ、これが重要なのですが——メモを取っていません。チャット上の質疑応答だけです。話したことは全部記録に残っていて、最後にはAIがそれを整えて、コンテンツの文章に仕上げました。打ち合わせの議事録も、下書きのファイルもなしで、話した内容がそのままシリーズになったわけです。
ただし、目次の質問が変だった
うまく行き過ぎた話には続きがあります。出来上がった目次を見ると、質問の意味がわからないのです。
たとえば「配信が『止まる』のは何段階?」。答えを知っている人しか、こうは聞けません。よく見ると、目次の質問が、私がインタビューで答えた内容への質問に置き換わっていました。これから検討する人がゼロから発する言葉ではなく、私の話を聞いた人の聞き返しになっている。これでは読む人に意味が通りません。
不思議なのは、インタビューのときにAIがしてきた質問には、違和感がなかったことです。「いまの会員データとどう紐づけるんですか」「運用側はどう回してるんですか」——答えを知らない、検討する側の立場から出た、生きた質問でした。わかりやすい目次に必要な質問は、最初からそこにあったのです。
工程を設計しないと、作り直しになる
これは手順の問題、工程の設計の問題です。言い換えると、私の経験不足です。「目次の質問は、インタビューで自分がした質問の言葉で作ること」——最初からAIにそう指示しておけば、おそらく最初からもっと良い目次になっていました。この形式を試す方は、出来上がりの目次の質問をどう作るかまで、最初の指示に入れておくことをおすすめします。
質疑応答を全体的に見直して、作り直しました。質問は当事者の気持ちの表現に。「いまの会員データは、そのまま引き継げますか?」「ログを社内のシステムで使いたいのですが」。それに対して、うちの会社が持っている経験で答えられる——質問と回答の両方に意味がある形に、最終的には持っていけました。
答えが短い問答で完結するので、形式はFAQと同じにしました。一覧には質問だけを並べ、1問1ページで答える。入れ物も表示も、これまでにFAQと設計リファレンスで作ったものの写しで済んでいます。
総括
- AIインタビュー形式は、ものすごく有効でした。断片的な箇条書きを渡すだけで、AIが全体を組み立て、こちらは質問に答えるだけで進められます。
- メモを取らず、チャットの質疑応答だけで、最終的にコンテンツの文章まで仕上がりました。ここが一番の発見です。
- ただし、出来た目次の質問は「私の回答への質問」に置き換わっていて、作り直しが要りました。インタビュー時の質問は良かったのだから、これは工程の設計の問題です。次は最初から指示に織り込みます。
- この方法はとても有効です。ただ、もうちょっと計画が必要でした。いい経験でした。
シリーズ「医療従事者サイトに必要なこと」は公開済みです。製薬業界の導入事例のページから読めます。