1. はじめに:会員サイトは「止まりがち」?
どんなに気合いを入れて立ち上げた会員サイトでも、 数ヶ月後には「更新されていない」「誰も使っていない」── そんな状態になっていること、よくあります。
でも、それは失敗ではありません。
むしろ、どのBtoB企業でも一度は通る道。 問題は、その兆候を放置したままにすることです。
この回では、「なぜ止まるのか?」「どうすれば再び動き出せるのか?」 を、いくつかの典型的なケースに分けて読み解いていきます。
2. よくある「会員サイトの落とし穴」
2-1. 【担当者が孤立している】
- 担当者が1人で兼任しながら運営
- 他部署からの協力が得られない
- 誰のために何を届けるのかが曖昧
この状態では、モチベーションの維持が難しい。 やがて「とりあえず更新」すら滞ってしまいます。
💡解決策:社内の“巻き込み力”が鍵に。 最低限、「誰に届けるか(ターゲット)」と「目的」を、 月1回でもチームで確認する“定例の場”を設けるだけで運営の負担は軽減されます。
2-2. 【KPIが不明瞭で成果が見えない】
- 「アクセス数」しか見ていない
- 見られているのに「成果がない」と判断される
- 何を評価すべきかわからない
💡解決策:評価軸を“目的”にひもづけて再定義。 たとえば、
- 閲覧数ではなく「特定のPDFがDLされた回数」
- 会員属性ごとの「再訪率」
- メールからの「コンテンツ到達率」 など
KPIを自社の成果と直結する形に置き換えることで、見えなかった価値が見えてきます。
2-3. 【コンテンツの整理がされていない】
- 古い情報と新しい情報が混在
- タグやカテゴリがバラバラ
- 会員が「探せない」「迷う」
これは、使われなくなる最大の原因のひとつです。
💡解決策:年2回の“情報整理日”を。 ゴミ箱を空にする感覚で、古い記事を「アーカイブ」し、 タグや分類を棚卸ししてあげましょう。 “情報の掃除”は、UXの改善以上の価値を生みます。
3. 「止まる兆候」は見えている
運営が“止まる”前には、いくつかのサインがあります:
- 更新頻度が落ちる
- 担当者が言葉少なになる
- コンテンツへの社内リクエストが減る
💡放置せず、小さく手を打つことが大事。
1記事、1改善でも「動いている」状態を保つだけで、 周囲の見え方がまったく変わってきます。
4. “止まらない”会員サイトにするには
4-1. 運営チームの“安心設計”を
- 担当者が「一人で抱えない」
- 誰かが休んでも継続できる仕組み
- 年間スケジュールとマイルストーンの共有
サイトそのものの設計以上に、 “人と体制”が止まらないための配慮が最も大切です。
4-2. CMSの力を借りる
- 定型コンテンツのテンプレート化
- 承認フローの自動化
- スケジュール公開機能や予約投稿
こうした機能を“人の苦手を補う道具”として活用することが、 会員サイトを止めないための一番の近道です。
5. まとめ:止まることもある。だから“戻せる工夫”を
BtoB企業にとって、会員サイトは長期戦の舞台です。 ときに止まり、ときに見直し、また再開する。
大切なのは、止まったときに「戻せる仕組み」があること。 そのためのヒントを、今回の回で少しでもお伝えできたなら嬉しいです。
次回はいよいよ最終回── 「成果を“可視化”し、社内に価値を伝える方法」についてお届けします。
お楽しみに!