成果につながるコンテンツ設計5原則

BtoBの会員サイト運用で多い悩みは共通しています。

  • コンテンツを増やしたのに利用されない
  • 目的の情報にたどり着けず離脱される
  • 更新しても成果につながらない

結論として、原因の多くは 「何を置くか」より先に、構成を設計していないことにあります。
この記事では、会員サイトを「ただの置き場」にしないためのコンテンツ設計の5原則を整理します。

  • 何を優先して配置すべきか
  • どう並べると再訪が生まれるのか
  • BtoBに特有の注意点

読み終える頃には、明日から見直せる判断基準が明確になります。

1. 「置く内容」ではなく「構成の役割」から設計する

多くの会員サイトが失敗する原因は、必要そうな情報を順番に追加してしまうことです。

よくある状態:

  • カテゴリが増え続けて整理できない
  • 重要情報が深い階層に埋もれる
  • 更新の優先順位が判断できず、古い資料が残る

成果が出る会員サイトは、ユーザーの行動と目的に合わせて構成されています
つまり、設計の起点は以下の3点です。

  1. 誰が(属性)
  2. 何をしに来ているか(目的)
  3. どの順番で行動するか(導線)

1-1. 行動フェーズを軸に並べる

ユーザーは会員サイトにアクセスするたび、次のいずれかの目的を持っています。

フェーズ 目的 配置すべきコンテンツ例
探す 情報収集・状況把握 よくある質問、導入事例、業界別情報
理解する 比較・検討・使い方把握 操作ガイド、機能説明、動画チュートリアル
行動する DL・申請・問い合わせ 資料ダウンロード、申請フォーム、更新手続き案内

ポイントは、利用目的に沿って「次に進める導線」を必ずセットで配置すること
単体のページで完結させず、回遊が生まれる構造が成果につながります。

2. 「属性×目的」で分類し、出し分けを前提に設計する

BtoBの会員サイトでは、ユーザー属性によって必要な情報が大きく異なります。
そのため、従来の「カテゴリ分類だけ」では、精度の高い運用ができません。

2-1. 属性と目的の掛け合わせが効果を生む

例として、以下の切り口で分類できます。

属性(誰向けか)

  • 製造/IT/医療/建築などの業界
  • 技術者/購買/経営層などの職種
  • 契約フェーズ(検討/運用中/更新前)

目的(何をしたいか)

  • 初回利用の立ち上げ
  • トラブル解決
  • 社内共有用の資料取得
  • 追加サービスの検討

この設計により、以下の成果が期待できます。

  • 必要な情報に迷わずたどり着ける
  • 関連コンテンツが自然に閲覧される
  • 「自分向け」と感じることで再訪率が向上する

出し分けには、CMSでタグ・会員属性・テンプレート制御が可能であることが前提となります。

3. ストック情報とフロー情報を切り分ける

情報の更新頻度によって、見せ方と役割は根本的に異なります。

区分 内容例 設計のポイント
フロー情報 お知らせ、セミナー案内、更新情報 新着順表示、一覧化、古い情報の自動アーカイブ
ストック情報 マニュアル、導入事例、動画、技術資料 カテゴリ整理、検索機能、関連表示、バージョン管理

混在させると発生する問題:

  • 情報が埋もれ、必要な資料に到達できない
  • 更新の優先順位が曖昧になる
  • 古い情報が残り信用を損なう

成果が出る会員サイトは、ストック=資産、フロー=通知と明確に役割を分離しています。

4. よくある失敗と回避するための設計基準

4-1. すべての情報を載せようとしてしまう

結果:

  • 情報過多で迷子になる
  • 初回訪問者ほど離脱しやすい

回避策:

  • 「最初に見るべき情報」を明確化
  • ピックアップ領域を設置
  • 初回と既存ユーザーで導線を分岐

4-2. 社内用語ベースのカテゴリ設計

例:

  • 「資料置き場」
  • 「技術情報」
  • 「製品関連」

ユーザーには意味が通じません。

改善策:

  • 「○○で困っている方へ」
  • 「はじめて利用する方へ」
  • 「更新手続きの流れ」

目的ベースの分類が理解しやすさを大幅に改善します。

4-3. 階層が深く、直感で到達できない

改善策はシンプルです。

  • 深くするより、浅く広く
  • タグとカテゴリの併用
  • 絞り込み検索の導入

これにより、離脱を抑えながら回遊性が高まります。

5. 成果を出す企業が取り入れている運用の工夫

成功企業に共通するのは、コンテンツを作って終わりにしない運用設計です。

5-1. 利用データをもとに改善する

活用される指標例:

  • 閲覧上位コンテンツ
  • 再訪までの期間
  • 離脱ポイント
  • FAQ閲覧後の遷移先

これにより、更新の優先順位と改善対象が明確になります。

5-2. 回遊を生む仕掛けを設置する

よくある工夫:

  • 「次に見るべきページ」提案
  • 事例→資料DL→問い合わせへの一連導線
  • 契約更新前に必要情報をまとめた専用ハブ

サイト側がユーザーを迷わせず進められるように設計することで、
再訪と利用継続が自然に積み上がります。

まとめ:コンテンツ構成は“届ける意図”の設計図

会員サイトの成果は、置く情報量ではなく構成の意図で決まります。

  • 誰が
  • 何の目的で
  • どの順番で利用し
  • どこへ進んでほしいのか

この視点で見直すだけで、会員サイトは「ただの保管庫」から、
価値を届け続けるデジタル資産へ変わります。

次回(第4回)は、今回の構成を前提に、
エンゲージメントを高める仕掛けと改善ポイントを整理します。

あわせて、全8回の構成を一覧で見たい場合は