1. 「何を置くか」ではなく「どう構成するか」が成果を左右する

多くの会員サイトが直面するのは、「何となく必要そうな情報」を積み重ねただけの構成になってしまうこと。

  • カテゴリが多すぎて目的の情報にたどり着けない
  • 重要な情報が深い階層に隠れてしまっている
  • コンテンツ更新が場当たり的で古い資料が残っている

せっかく作ったのに、「使われない」「戻ってきてもらえない」…。 そんな会員サイトにならないためには、コンテンツ構成=ストーリー設計という視点が必要です。

成果を出す会員サイトは、訪問者の心理や業務の流れに沿った構成を持っています。 つまり、「何を」「どう並べるか」「誰に出すか」を設計することがカギになります。

2. 構成設計で押さえるべき3つの視点

① ユーザー行動の流れを軸に設計する

コンテンツの構成は、ユーザーが「何をしに来ているか」という目的を軸に整理するのが基本です。 たとえば以下のような流れ:

① 情報を探す→ ② 比較・検討する→ ③ 行動する(ダウンロード・申請・相談など)

この流れをサポートするために、以下のようなセクションを並べると自然です:

フェーズ 役立つコンテンツの例
探す よくある質問、導入事例、業界別の比較ページ
検討 製品の特長、価格、導入フロー、Q&A集
行動 ダウンロード資料、問い合わせフォーム、ログイン特典

② 「属性×目的」で分類し、出し分けを前提に

成果を上げているBtoB企業の会員サイトでは、単なるカテゴリ分類ではなく、ユーザーの属性と目的の掛け算で出し分けています。

例:

  • 属性:業種別(製造/IT/不動産…)、職種別(技術者/経営層/営業…)
  • 目的:初回導入検討、運用中の課題解決、追加サービスの提案 など

こうすることで、誰にとっても「自分向けだ」と感じられる構成になり、滞在時間や再訪率が伸びます。

出し分けのためには、CMSに「タグ」や「会員属性による表示切替」機能があることが重要です。

③ ストックとフローを切り分けて設計する

「更新される情報」と「蓄積される情報」は、見せ方も役割も異なります。

種類 内容例 表示の工夫
フロー情報 ニュース、セミナー告知、キャンペーン 新着一覧、更新日順で表示
ストック情報 マニュアル、導入事例、動画アーカイブ 検索機能、カテゴリ整理、関連表示

両者を同じ場所に混在させると、どちらも埋もれてしまいます。 成果を出すサイトは、この切り分けがきちんと設計されています。

3. コンテンツ構成に失敗しがちな3つの落とし穴

❌「すべてを載せよう」としすぎる

→ 情報過多で迷子になる。 → 「何を探していいか分からない」サイトに。

→ ✅ 重要な導線だけに絞った「おすすめ導線」をつけるのが効果的。

❌カテゴリ名が業務視点でなく、社内事情ベース

→「製品資料」「技術情報」など社内的な言葉だけでは、初見のユーザーには伝わりづらい。

→ ✅ 「○○でお困りの方へ」「初めての方へ」といった目的ベースの分類が有効。

❌階層が深く、直感でたどりつけない

→ クリック数が多く、離脱されがち。

→ ✅ カテゴリとタグの両軸設計で、「浅く広く+絞り込み検索」がベスト。

4. コンテンツ構成は“サイト全体の戦略”の一部

成果の出る会員サイトは、単に「情報を整理した」だけではありません。 “どの導線から誰に何を届けるか”を計画的に設計した結果として、使いやすく、成果が上がるのです。

サイト構成=営業戦略 導線設計=顧客体験のシナリオ コンテンツ設計=デジタル上の提案資料

…と考えると、コンテンツの位置づけが明確になりますよね。

5. 成果を出す企業が取り入れている工夫

  • 📌 ピックアップエリアの設置:初回訪問者向け、契約者向けの分岐など
  • 🧩 よく使われるコンテンツランキング:リアルなニーズの可視化+回遊促進
  • 🔁 「次に見るべきコンテンツ」提案:FAQのあとに関連事例や資料DLへ誘導
  • 🧭 ページ上部にコンテンツマップを設置:視覚的にナビゲーション

まとめ:コンテンツ構成は、“届ける意図”の設計図

BtoB企業の会員サイトにとって、どんなコンテンツを置くか以上に、どう構成するかが重要です。

  • 誰が何を探しているのか
  • どの順番で情報を求めているのか
  • どんな行動に導きたいのか

このような視点をもとにコンテンツ構成をデザインすることで、 「成果につながるサイト」へと進化させていくことができます。

次回は、ユーザーとの接点を育てる「エンゲージメント強化の仕掛け」について深掘りしていきます。