1. 数字を見ても意味がわからない──そんな悩みの正体とは?

Webやマーケティングの現場でよくある悩みに、「アクセス解析ツールを見ても、どの数字を見ればよいのか分からない」「数値が増えたり減ったりしても、それが良いのか悪いのか判断できない」というものがあります。特にマーケティング初心者にとって、数字は“読むもの”ではなく“眺めるもの”になりがちです。

その背景には、以下のような状況があります:

  • 数字の定義や前提を理解していない
  • どの指標が目的に直結しているかの判断がつかない
  • 指標同士の関係性をイメージできない

これでは、効果検証も改善提案も進みません。

1-1. "よく見られがち"だけど判断を誤りやすい指標

PV(ページビュー)UU(ユニークユーザー) はアクセス解析ツールで最も目立つ指標ですが、増減だけを見て施策を判断するのは危険です。

たとえば、SNSでバズってPVが急増したケースを考えてみましょう。PVだけを見ると「すごい成果」と錯覚しがちですが、コンバージョン(例:資料請求)にはまったくつながっていないことも少なくありません。つまり、PVの上昇が目的達成に貢献しているとは限らないのです。

また、直帰率が高い=悪い、という誤解も多いです。たとえばFAQやアクセスマップなど「情報を得て完結する」ページの場合、直帰率が高いのは自然なことです。指標の意味をそのまま善悪で判断せず、“文脈”とセットで見ることが大切です。

1-2. 指標を「見る意味」がわかるようになると何が変わる?

数字を見ることの本質は「ユーザーの行動を読み解くこと」です。例えば:

  • 流入元別の滞在時間から、検索経由とSNS経由のユーザーの関心の違いが見える
  • CVR(コンバージョン率)の週次変化から、ページ改修の効果や問題点を読み取れる
  • 再訪率から、コンテンツの定着度やリピートの兆しを察知できる

これらの“気づき”があるだけで、次のアクションに根拠が生まれ、報告や提案の説得力が一気に増します。

2. 初心者がまず押さえるべき“見るべき指標”とは?

初心者が最初に見るべき指標は、"数が多くて目立つもの" ではなく、"施策の目的に直結するもの" です。

2-1. コンバージョンにつながるプロセス指標

たとえば、BtoBサイトでの目的が「問い合わせ獲得」や「資料請求」である場合、以下のような指標を優先して見るべきです。

  • フォーム到達率(フォームページへの遷移率)
  • フォーム完了率(入力完了までたどり着いた率)
  • CTAクリック率(問い合わせボタンやバナーの反応率)

これらは「コンバージョンに至るプロセス」を可視化するものであり、改善施策を考える際の出発点になります。

例:あるIT企業の事例では、CTAボタンの文言を「お問い合わせはこちら」から「無料で相談する」に変更しただけでクリック率が2倍に。データを見て改善した好例です。

2-2. スルーしていい“気にしすぎ”な数字

逆に、初心者が気にしすぎてしまう指標もあります。

  • 平均滞在時間:数ページを回遊するユーザーと、1ページだけをじっくり読むユーザーが混在しており、平均値だけでは判断できません。
  • 直帰率:前述の通り、目的によっては高くても問題ない場合があります。
  • ページ別のPV数:流入元や導線の設計次第で変わるため、「良い・悪い」の評価がしづらい数字です。

これらは"背景"や"コンテキスト"を理解していないと誤解しやすく、「施策の優先順位」を間違えてしまう原因になります。

まとめ:数字に強くなる第一歩は“目的と紐づけて見る”こと

アクセス解析において重要なのは、「この数字は何のために見ているのか?」を自分なりに説明できるようになることです。

数字をただ眺めるのではなく、意味づけして読み解く──それだけで、データは施策判断に使える“武器”になります。

初心者にとっては難しく感じるかもしれませんが、まずは目的とセットで指標を見る癖をつけることが第一歩です。少しずつでも意味が分かってくると、数字を見るのが楽しくなってくるはずです。