このブログは、自社のCMS「writeWired」のサイトを、AIと一緒に作り直してきた記録です。この記事の作業は、2026年7月17日から27日にかけて、主にClaudeと進めました。

やりたかったこと:機能1つを1ページにした解説を、AIに大量に書かせたい

製品ページを、機能の事実から組み立て直したかった

writeWiredの製品ページは、「すごいでしょ」という売り文句から始まり、機能の一覧は最後に軽く並べてあるだけでした。私はこれを逆にして、機能1つをそれだけで意味の通る1ページに書き、その上に製品ページを組み立てることにしました。この1ページずつを「フラグメント」(断片)と呼んでいました。のちに「機能リファレンス」という名前で公開しています。

1ページの区切りは、管理画面の1画面です。そうなると、ページの数は100を超えます。

人の手では書かない、と最初から決めていた

この作業を全部自分の手でやることは、最初から考えていませんでした。理由は二つです。

  • 量が膨大になるのが見えていた
  • 積み上げたかったのは機能の事実で、人が書くと誇張が入る

AIが画面のキャプチャを読んで文章にできることは、この時点で分かっていました。台帳に機能の名前と概略、それぞれの画面の画像を用意すれば、あとはAIに書かせられます。

問題は、AIが前のチャットを覚えていないこと

ただ、AIにはチャットごとに記憶が切れるという制約があります。100本を超える作業は、1回のチャットでは終わりません。さらにClaudeは、1回のチャットで読める画像は25〜30枚が限界だと、作業の前に自分で申告していました。画像は全部で162枚あります。

チャットをまたいでも作業が途切れず、どこまで済んだかが分かる。その仕組みを、最初に決める必要がありました。

こうやってみた:Excelの台帳だけを「正」にして、チャットは使い捨てにした

最初に決めたのは、機能の中身ではなく進め方

最初に決めたのはこうです。

  • 機能の一覧とページを管理するExcelの台帳を、唯一の「正」とする
  • Claudeは台帳を直接更新し、ファイル名の版番号を上げて返す
  • チャットの終わりには、Claudeに引継ぎメモを書かせる
  • 次のチャットには「引継ぎメモ+最新の台帳+その回の素材」を渡すだけで再開する

AIの記憶に頼らず、ファイルで工程をつなぐ形です。チャットは使い捨てで、台帳だけが残ります。

ここからの工程を、担当と一緒に書きます。

棚卸し:管理画面の全機能を、1画面1行に起こした

私が用意したのは、管理画面の実物と、どの画面がどの機能かという知識です。Claudeが1画面1行で全機能を行に起こし、すべての行にIDを付けました。IDの付け方は私が決めました。画面の内部の名前を組み合わせて作るので、IDを見ればどの画面の話かが分かります。

20年近く作ってきた多機能の製品なので、この棚卸しが一番大変でした。重複がなく、1行が1機能として意味を持つところまで詰めると、最終的に127本になりました。

撮影:キャプチャは自分で撮り、写す中身はAIで作った

キャプチャは全部、私が撮りました。人に任せると、何を見せたい画面なのかがぶれるからです。何をどう撮るかは、Claudeが台帳で管理しました。どの画面を、どのユーザーでログインして、どのデータを開いて撮るか。撮れた画像はClaudeが1枚ずつ確かめ、撮り直しや切り抜きの指示も台帳に戻ってきます。

もう一つ前提がありました。実在のお客様のデータは、画面に1件も出せません。でも、空の画面では何の機能か伝わりません。そこで、撮影用の環境に入れるデータをClaudeに作らせました。架空の会社と部署、社員とその役割までです。私が管理画面のキャプチャを見せるだけで、Claudeはその画面に取り込めるCSVを作りました。架空の会社の設定が全体で一本通っているので、お知らせの文面やメールの中身まで話がつながり、撮った画面の説得力が上がりました。

タイトルとリード:Claudeが案を出し、私が事実を確かめた

127本のタイトルと、冒頭の一文(リード)は、Claudeが17〜45本ずつ、4回に分けて案を出しました。確信のない点には「要事実確認」として箇条書きの質問を添えます。私はまとめて赤を入れ、質問に答えます。製品の細かい仕様を知っているのは、人の側だけです。私がOKを出した分から、Claudeが台帳に反映しました。

たとえば、問い合わせにメールを送る画面について、Claudeは「条件で絞った相手に送る画面か、一人に返信する画面か」を確認事項に挙げました。それまでの下書きでは条件で絞って送る画面として書かれていましたが、私が確かめると、実際は一人に1件を送る画面でした。こうした食い違いを、公開前に一つずつつぶしていきました。

この工程で、書き方のルールも決まりました。

  • リードは、その機能が何かを1文で言い切る
  • できることと、できないことの境目を、対にして書く
  • 撮影用の環境で数えた数字(項目の数など)は書かない。構成によって変わるので、製品の事実ではないから

本文:Claudeが画像を1枚ずつ読み、チャットをまたいで書き切った

本文は、Claudeが画像を1枚ずつ読みながら、画像の説明文(alt)と本文を書きました。私は、画像に写らない仕様を補い、赤を入れます。

1回のチャットで読めるのは25〜30枚です。限界が近づくたびにClaudeに引継ぎメモを書かせ、新しいチャットで再開しました。渡すのは毎回、引継ぎメモと最新の台帳と、その回の画像の3つだけです。162枚と127本を、Claudeの記憶ではなくファイルでつないで書き切りました。

1本の中身は、入力画面の欄で決まっています。

機能リファレンス1本分の入力フォームです。機能ID・定義・とは?・できること・キャプチャとalt・管理画面の補足・どんな場面で・特長・関連機能・機能カテゴリ・業務タグの欄で構成されています。

定義は1文で言い切る。「できること」は画面で確かめられる事実だけを箇条書きにする。「管理画面の補足」は画面に写らない操作や状態の意味。「特長」は仕組みから来る違いだけで、誇張はしない。各欄の下に添えた小さな説明文が、そのままClaudeへの執筆ルールになっています。関連機能の欄にIDを並べれば、リンクはページの型(テンプレート)が自動で張ります。

まとめ方:作業の順に並べる割付表を作った

127本は、1本ずつ独立したページです。並べただけでは目録にすぎません。読む人は、自分の仕事の流れに沿って、必要なページが必要な順で並んでいてほしいはずです。

そこで、関連するページを「まとまり」に束ね、どのまとまりを、製品のどのページに、どの順で載せるかの割付表を作りました。たとえばフォームを管理する人向けのまとまりなら、

  • 入力フォームを作る
  • フォームを複製して量産する
  • 対象のフォームだけの検索条件を作る
  • 自分が使うメニューを指定する

が、作業の順に並びます。

まとめ方の図です。1本ずつのページが作業の順にひとつのまとまりになり、まとまりが製品のページに割り付けられる構成を示しています。

方針は一つだけです。まとまりを並べたとき、それがその仕事をする人の作業の流れになっていること。Claudeが127本を36のまとまりに束ね、載らないページがないこと、存在しないページを指していないことを機械的に確かめました。まとまりの名前は、全体が見えるまで決めず、仮のまま進めました。

こうなってしまった:Claudeに作らせた分類の言葉が、全部使えなかった

ページには、探す人の助けになるタグも付けたいと考えました。「どんな仕事で使う機能か」を表す、業務のタグです。これもClaudeに作らせようとしました。

サイトには、以前に作った9つの業務タグがすでにありました。ただ、「動きに合わせて届ける」「数字で説明する」のように、読んでも意味が分からないものが混じっていました。そこでClaudeに、9つの枠を増やさない条件で、言葉を見直させました。

Claudeは動詞句の案を出しました。私が全部見て、ほとんどを落としました。新しく出てきた「権限と承認を決める」は、何の権限か分かりません。「問い合わせに応える」は一般的すぎて、自分のことだと思えません。「毎日の作業を整える」には、サウナかと返しました。

その後、名詞にした案、役割で分けた案と出し直させましたが、どれも通りません。どの案も、先に分類の枠を作ってから当てはめていました。私は「トップダウンで決めようとしてない?逆だよ逆」と返し、127本の一本ずつに「この画面を開いている人は、何の最中か」を、決まった言葉を使わずに書かせ、そこから分類を探しました。それでも、使える言葉は出てきませんでした。

だからこうしてみた:新しい言葉は作らないと決めた

妙案が出ないまま、私は先に進むことにしました。Claudeは、無理に出した言葉はいまの分かりにくいタグの二の舞になるので、ここは「決めないことを決める」のがよい、と提案しました。タグはページの入力項目なので、あとから付け直せます。

この作業を始めるとき、私はClaudeに「増えすぎず、制約を」と条件を付けていました。以前、AIに分類を自由に作らせて、FAQのカテゴリが145まで増え、収拾がつかなくなったことがあったからです。新しい言葉を作らないのは、その条件の延長でもありました。

業務のタグは、すでにあった9つをそのまま使うことにしました。分け方そのものは機能の分類とほぼ重なっていて、使えなかったのは言葉のほうだったからです。言葉を人に分かりやすく直すのは、全部の工程が終わってから考えます。割り当てはClaudeの仕事です。127本それぞれが、どの製品ページのまとまりに載っているかから、機械的に割り当てました。

その後

127本の文章と画像の確認が終わり、公開用のデータを作った時点で、台帳の版はv97になっていました。Claudeが版を上げて返した回数が、そのまま工程の記録になっています。127本は、v97の台帳から作ったCSVで、7月27日に公開しました。

運用のコツとして、次のことを台帳に残しました。

  • 途中の版は捨て、「正」を常に1本にする
  • Claudeの「要事実確認」には、次のやり取りで必ず答える
  • 私の間違いも、訂正の経緯ごと台帳に残す
  • 長いチャットでAIの応答が乱れてきたら、無理をせず引継ぎメモを書かせて新しいチャットにする

今回の作業で分かったこと

AIに大量に書かせるなら、記憶ではなくファイルで工程をつなぐ

Claudeはチャットが変わると前の作業を覚えておらず、1回で読める画像も25〜30枚まででした。それでも162枚・127本を書き切れたのは、続きをAIの記憶に頼らず、台帳と引継ぎメモに置いたからです。次のチャットに渡すものが毎回同じ3つに決まっていたので、どこからでも再開できました。

人は台帳の設計と事実の確認を持ち、書くのはAIに任せる

どの機能を1ページにするか、IDをどう付けるか、仕様が正しいか。ここは人が持ちました。一人に送る画面が、下書きでは条件で絞って送る画面として書かれていたような食い違いは、Claudeが確認事項として挙げても、答えられるのは製品を知っている側だけでした。一方で、決まった欄に、画面に写った事実を書き込む作業は、量が多くてもAIに任せられました。分担の境目は、「何が正しいかを決める」か「決まった形に書く」かでした。

AIに言葉を作らせて通らないなら、作らないと決める

分類の言葉は、枠を先に作っても、127本から探しても、使えるものが出ませんでした。そこで新しい言葉を作るのをやめ、既にある9つの割り当てだけをAIに任せ、言葉の直しは後に回しました。AIは案をいくらでも出せますが、通らない案を言い換えて採っても、読む人が迷うだけです。決めないことを決めるのも、進め方の一つでした。