AIで書いた記事・直した記事は、検索で評価される?
私たちの実験で、こんなことをしました。
検索で上位に出たくて、自分で書いた記事を、AIに読みやすく直させました。中身は変えていません。強い主張や冗長な表現がほどよく中和されて、読みやすくなりました。ところが、検索順位は落ち続けました。
一方で、別の方法も試しました。連載の骨子を人が納得するまで固め、AIに一話ずつ書かせて、人が確かめて直させる方法です。こうして作った記事の中には、上級者向けのニッチな検索語で、しっかり上位に来るものがありました。
なぜ落ちたのか、正直、まだ納得できていません。AIで直したからなのか、同じ時期にあったGoogleの大きなアップデートのせいなのか。中身は自分の記事なのに、なぜ下がるのか。どちらも答えが出ていません。少なくとも「AIが書いた記事は評価されない」とは言い切れない、というのが今の私たちの立場で、検証はまだ途中です。
詳しくは:検索順位を追うのをやめた話/AIでリライト、記事量産、FAQ自動生成、チャットボットを試した記録
検索順位の代わりに、AIの検索回答に引用されることを狙うなら、何を書く?
私たちの実験で、こんなことをしました。
検索の上位は、初心者向けの「〜とは」記事で埋まっていて、上級者向けの私たちの製品が戦える場所ではありませんでした。そこに、Googleが検索結果の上にAIで答えを出す仕組みが来ました。AIは情報を小さな断片として拾って答えに使う、と聞いていたので、自社にしかない事実を小さな単位で置けば、引用されるかもしれない。1位を取らなくても、AIの答えの中に入れば、順位の勝負から降りられる。そう考えて、管理画面の機能を1画面1ページで解説したページを127本作りました。
2026年9月には、「多拠点サイト」の検索で、AIの説明の出典として自社のページが引用されているのを確認しました。ただ、振り返ってみると、引用されたのは検索順位も上がっていたページでした。いまは、引用されたことに特別な意味は感じていません。
検索順位とは別の入口を作りたかったのですが、少なくとも今回の結果では、その可能性を確かめられませんでした。順位の代わりには、まだなっていません。
詳しくは:検索順位を追うのをやめた話
AIは、ページの何を信用する? 不利な条件を書くと、評価は下がる?
私たちの実験で、こんなことをしました。
作り直したサイトが、困りごとを持っている人にちゃんと届くのかを確かめたくて、製品名を一切教えないAIに、Web検索で製品を探させました。AIには、会員サイトの構築を検討しているWeb担当者の役を与え、「営業ページに書いてあるからできる」とすぐに判断せず、「本当に標準機能なのか」「具体的にどんな画面なのか」と疑うよう指示しています。社内の2人が、それぞれ自分のAIのチャットで、この指示を5回ずつ実行しました(毎回新しいチャットで、記憶はオフ)。AIは10回とも、私たちの製品にたどり着きました。
AIには、探した経過を最後に記録として書き出させています。ここから先は、その記録から分かった、チャットの中でのAIの動きです。
AIは、営業ページの「統合できます」「一元管理できます」を読んでも、本当かどうかをその場では決めませんでした。「まだ確認できていない」として、そのページからリンクをたどって、より詳しいページを読みに行きます。そして、管理画面のキャプチャや、取得できる項目、制約が書かれたページにたどり着いた時点で、初めて「確認できた」としていました。
意外だったのは、製品にとって不利な情報も、信用するための材料になっていたことです。たとえば、メール配信のページには「開封は、本文に開封確認の画像を含むメールでのみ記録されます」と書いてあります。裏を返せば、画像を含まないテキストだけのメールでは、開封したかどうかが分からない、ということです。売り込む側なら、できれば書きたくない一文です。ところが複数の回が、こうした制約の明記を「この情報は信用してよいという判定材料になった」と評価していました。不利というより、誠実さを評価しているのだと思いました。同時に、それが書き手にとって不利な情報だと理解したうえで評価していることに驚きました。
当時、私はAIがWebサイトの中身まで調べて、情報の確かさを判断するようになると思っていました。だから機能の事実や制約を細かく書いておけば、営業的な宣伝よりも信用されるのではないかと考えたわけです。ところが、別にGeminiを使って調べてみると、そう簡単ではありませんでした。公開ページに書かれた「No.1」という主張を推薦の根拠にしたり、検索で見つけられなかったページについて、確認できていない理由をもっともらしく説明したりしていました。つまり、AIにはそういう調べ方ができる。でも、いつもそうやって調べているとは限らない。AIが当然のようにサイトの中身まで確かめて答えてくれると思っていたのは、私の幻想だったのかもしれません。
それでも、情報源としてそういうサイトにしておく、という姿勢は大事です。曖昧な情報を放置しておくと、意味のない問い合わせが増え、送る側も受ける側も疲弊します。単純にリードを増やすことをKPIにするのではなく、情報の伝え方が大事だと思っています。
詳しくは:製品名を知らないAIに、Web検索で自社製品を探させた
AIは検索でどこから入り、細かい事実のページにどうたどり着く?
私たちの実験で、こんなことをしました。
製品名を一切教えないAIに、Web検索で私たちの製品を探させました。確かめたかったことの一つは、作り直したばかりのページが、AIの入口になるのかどうかです。社内の2人が、それぞれ自分のAIのチャットで5回ずつ実行しました。
AIが最初に開いたのは、ほぼ毎回、以前からある導入事例のページでした。作り直したページではなく、この1か月半、まったく手を入れていないページです。管理画面の細かい事実を書いたページ(たとえば「メールの開封日時が1行ずつ並ぶ画面」)は、検索結果から直接開かれたことが一度もありません。全部、入口のページからサイト内のリンクをたどって着いていました。
ある回のAIは、リンクをたどって読んだページが要件にぴったりだったので、最初からこのページを狙って検索していたら直接来られたのか、と考えました。そして、そのページの本文とほぼ同じ言葉で検索し直しましたが、6回試して6回とも、そのページは出てきませんでした。公開されていて、サイトマップにも載っているページです。
結局SEOなんだな、と思いました。検索エンジンは、こちらが思う以上に文脈を読みません。というより、理解できるようにしないと評価しない。そして、どうしたら理解できるのかを公表しないので、競争が生まれるのだと思います。
詳しくは:製品名を知らないAIに、Web検索で自社製品を探させた
製品名を知らないAIに、自社がちゃんと見つかるか確かめるには?
私たちの実験で、こんなことをしました。
作り直したサイトが、困りごとを持っている人に届くのかを確かめたくて、AIに見込み客の役をさせて、自社を探させました。
AIには「会員サイトの構築を検討しているWeb担当者」の役を与え、製品名や会社名は一切教えません。指示は3つです。検索語を一字一句そのまま記録すること(うまくいかなかった検索も省かない)、営業ページの「できます」をすぐ信じず「本当に標準機能か」「どんな画面か」と疑うこと、最後に探した経過を記事の形で書き出すこと。実行するときは、プロンプトは全文そのまま、毎回新しいチャットで記憶はオフ、終わるまで口を挟まない、うまくいかなくてもやり直さない、と決めました。
ふだんAIに私たちの製品の話をする量が違う社内の2人が、それぞれ5回ずつ実行し、10回とも私たちの製品にたどり着きました。製品をほとんど知らない側のAIは1回に11〜14回検索し、多少知っている側は5〜6回でした。それでも、最後に行き着くページは同じでした。知識の量で変わったのは、試行錯誤の量で、行き先ではありませんでした。
やってみて一番の発見は、AIに見込み客の役をさせて自社を探させる、という使い方そのものでした。これは、ぜひほかの方にもやってもらいたい実験です。そのためにプロンプトも公開しています(ふだんは実験結果のレポートが目的なので、プロンプトは配布していません)。すぐに役に立つものではないと思いますが、AI時代の評価軸の一つとして、自社がどう見られているかを簡単に確かめられる、面白い手段です。
詳しくは:製品名を知らないAIに、Web検索で自社製品を探させた/製品名を教えないAIに、Web検索で自社製品を探させる実験プロンプト
AIに市場や競合を調べさせると、知っているカテゴリしか出てこない。どう頼めばいい?
私たちの実験で、こんなことをしました。
自社サイトの中は確かめたので、次は外から見た姿を知りたいと思いました。ただ、「競合を調べて」とAIに頼むと、CMSやMAといったカテゴリの名前で聞くことになり、そのカテゴリの製品一覧が返ってきます。それでは、自分がすでに知っている範囲の答えしか返ってきません。知りたかったのは、売り手のカテゴリではなく、お客さんの困りごとから見た市場でした。
そこで、製品名もカテゴリ名も一切渡さず、一本のプロンプトに工程を順に書きました。まず、約20の業種でWeb担当者の困りごとを挙げさせます。製造業の「型番数千の製品情報が、サイトとカタログでバラバラに古びる」、病院の「診療科ごとの外来表の更新が事務に集中する」といったものが、60個出てきました。次に、業種を外して似たものをまとめさせると、12の課題パターンになりました。そこから市場探索に向く10件を選ばせ、「紙とFAXで受けている申請・発注をWebに移したい」「セミナーの募集から当日の受付、終わった後のお礼やアンケートまで一連で回したい」のように、担当者が相談しているような文章にさせます。そして、その相談文だけでAIにWeb検索させ、対応できそうな企業・サービスを、根拠になるページのURL付きでレポートにさせました。
すると、相談文ごとに別々の市場に行き着きました。なかでも分かりやすかったのが、FAXの相談文です。AIが見つけてきたのは、Webで申請を受け付ける仕組みではなく、クラウドFAXや、FAXの文字を読み取るサービスでした。紙をやめたい相談なのに、紙を使い続けるための市場に行き着いたのです。時代遅れだとは全く思いませんでした。強い業界だと思いましたし、同時に、もう入り込む余地のない、出来上がった業界だとも思いました。
ほかも同じでした。セミナーの相談文では、セミナー管理の専門サービスが並び、サイトを作る会社は出てきませんでした。多店舗のページ更新は店舗運営の支援サービスへ、製品情報の一元化は商品情報管理のサービスへ、閲覧企業の可視化はサイトを訪れた企業を特定するツールへ。困りごとには、その困りごと専門の売り場がすでにあり、お客さんの言葉で検索すると、カテゴリの棚ではなく、その専門の売り場に着きました。
10回の検索で、自社の製品は一度も出てきませんでした。実は、あまり気にしていません。「CMS」という単語だけで検索しても、私たちは上位に出てこないのだから、当然くらいに思っています。もともと、その広い層全体を相手に商売をしているわけではありません。それよりも、AIが検索に使ったお客さんの言葉と、自社サイトの言葉を突き合わせると、差が33個見つかりました。そこから、足りなかったページを1本作っています。