この記事でわかること

  • 製薬マーケティングを「構造」で捉えるとはどういうことか
  • 施策が増えても成果が出ない本当の理由
  • 会員サイト・コンテンツ・データ・KPIをどうつなげて設計すべきか
  • 次回以降の連載で扱うテーマの全体像

なぜ「構造」で考える必要があるのか

製薬マーケティングの現場では、次のような声をよく耳にします。

  • コンテンツは増えているが、成果が見えない
  • KPIは設定しているが、次の打ち手につながらない
  • データはあるが、活用できていない

これらの問題の多くは、個々の施策の良し悪しではなく、
「施策同士がどうつながっているか」という全体構造の設計不足から生じています。

マーケティングを部分最適で考える限り、
施策を追加しても成果は安定しません。

製薬マーケティングにおける「構造」とは何か

本連載で扱う「構造」とは、次の要素が意図をもってつながっている状態を指します。

  • 会員サイト(接点・基盤)
  • コンテンツ(情報提供・価値)
  • 行動データ(ログ・反応)
  • KPI・ダッシュボード(評価・判断)
  • 運用・改善プロセス(次の施策)

重要なのは、
どれか一つを強化することではなく、全体が循環しているかどうかです。

よくある失敗パターン①

施策が「点」で終わっている

  • 会員サイトはあるが、目的が曖昧
  • コンテンツは更新しているが、評価されていない
  • メールは配信しているが、次につながらない

この状態では、
施策は「やって終わり」になり、学習も改善も起こりません。

よくある失敗パターン②

KPIが「確認用」になっている

PV、UU、開封率などを見てはいるものの、

  • なぜその数字を見るのか
  • 数字が変わったら何を変えるのか

が設計されていないケースは少なくありません。

KPIは成果を測るための指標ではなく、
次の判断をするための道具です。

よくある失敗パターン③

データが設計されていない

行動ログは取得しているものの、

  • どの行動を重要とみなすのか
  • どの単位で見るのか
  • 誰が、いつ、どう判断に使うのか

が整理されていないと、データは「溜まるだけ」になります。

構造として設計する、という考え方

「構造で設計する」とは、次の問いに答えられる状態をつくることです。

  • この施策は、どの成果につながるのか
  • その成果は、どのデータで判断するのか
  • データを見て、次に何を変えるのか

つまり、

施策 → データ → 判断 → 改善

が一連の流れとして成立しているか、が重要になります。

成果を出している企業に共通する視点

成果を出している製薬企業では、次の特徴が見られます。

  • 会員サイトを「情報置き場」ではなく、マーケティング基盤として設計している
  • コンテンツをKPIとセットで考えている
  • 行動データを前提に、運用改善が回っている

特別なツールや派手な施策があるわけではありません。
設計の考え方が一貫していることが最大の違いです。

よくある誤解

「ツールを入れれば解決する?」

MA、CDP、分析ツールなどを導入しても、

  • 目的が曖昧
  • データの使い道が未定
  • 運用体制が決まっていない

状態では、成果は出ません。

ツールは構造があって初めて活きるものです。

この連載で扱うテーマと位置づけ

本コーナー「製薬企業のデジタル施策設計」では、
製薬マーケティングを以下の視点から分解・整理していきます。

  • 会員サイト設計(接点の設計)
  • コンテンツ設計(価値の設計)
  • 行動データ設計(測定の設計)
  • KPI・ダッシュボード設計(判断の設計)
  • 運用・改善プロセス(継続の設計)

第3回となる本記事は、
**その全体をつなぐ「構造の考え方」**を扱う位置づけです。

次回予告

次回は、
**「行動データを前提に、どのように施策を改善していくのか」**をテーマに、
具体的な設計視点を掘り下げていきます。