■ 製薬デジタル施策はなぜ「失敗」と感じられやすいのか
製薬デジタル施策の失敗は、多くの場合「完全な失敗」ではありません。
- Webサイトはある
- 会員サイトも運用している
- メール配信やWebセミナーも実施している
それでも、
- 何が成果なのか分からない
- 上司に説明できない
- 次に何を改善すべきか判断できない
という状態に陥ります。
これは施策の数ではなく、全体のつながりが見えないことが原因です。
■ よくある誤解:失敗の原因は「人」や「ツール」
製薬デジタル施策がうまくいかないと、次のように考えがちです。
- 担当者がデジタルに詳しくない
- 外注先の提案が弱い
- CMSや配信ツールの機能が足りない
しかし、同じ人・同じツールでも成果が出ているケースは存在します。
つまり、問題は「能力」や「機能」ではなく、使い方の前提構造にあります。
■ 失敗しやすい構造①:目的が曖昧なまま施策が増える
よくある構造のひとつが、
- とりあえず会員サイトを作る
- とりあえずWebセミナーを実施する
- とりあえずメールを配信する
という「施策先行型」です。
この場合、
- 何のための施策なのか
- どの行動を促したいのか
- 成果をどう判断するのか
が後回しになり、施策同士がつながらなくなります。
■ 失敗しやすい構造②:単発施策で完結してしまう
製薬デジタル施策では、
- 1回のWebセミナー
- 1本の講演会配信
- 1通のメール配信
が「その場限り」で終わるケースが多く見られます。
本来は、
- 誰が参加したのか
- その後どの情報に関心を示したのか
- 次にどんなフォローが必要か
といった行動の流れを設計すべきですが、
施策が点で終わると改善や蓄積ができません。
■ 失敗しやすい構造③:データはあるが、使われていない
多くの製薬企業では、次のようなデータは取得されています。
- ログイン情報
- 閲覧履歴
- クリック履歴
- Webセミナーの参加・視聴履歴
しかし、それらが
- 誰の、どんな関心を示しているのか
- 次に何をすべきか
という判断に結びついていないケースが大半です。
データが「記録」で止まり、「意思決定」に使われていない構造です。
■ 失敗しやすい構造④:KPIが後付けになる
施策を始めた後に、
- とりあえずPV
- とりあえず参加者数
- とりあえず開封率
をKPIに設定するケースも少なくありません。
しかし、KPIは本来、
- どんな行動を成果と定義するのか
- その行動はどの施策で生まれるのか
を先に決めた上で設計されるものです。
順序が逆になると、数字を見ても意味が分からなくなります。
■ 失敗を防ぐ鍵は「施策」ではなく「構造設計」
ここまで見てきた失敗要因は、すべて共通しています。
それは、
施策単体ではなく、全体構造が設計されていないという点です。
- 会員サイト
- コンテンツ
- Webセミナー・講演会
- メール配信
- 行動データ
- KPI
これらを「どうつなげるか」を先に考えることが、失敗を防ぐ第一歩になります。
■ 設計から考えると、何が変わるのか
構造を意識して設計すると、次のような変化が起こります。
- 施策の優先順位が明確になる
- 成果を説明しやすくなる
- 改善ポイントが見える
- 担当者が変わっても運用が継続できる
これは特別なツールや高度な手法によるものではありません。
「何を、どうつなぐか」を最初に整理するだけです。
■ よくある質問(Q&A)
Q. 小規模な施策でも構造設計は必要ですか?
A. はい。むしろ施策数が少ないほど、目的と流れを明確にすることで成果が見えやすくなります。
Q. すでに施策が動いている場合は手遅れですか?
A. いいえ。既存施策を洗い出し、役割を整理することで、途中からでも構造は作れます。
■ まとめ
製薬デジタル施策が失敗しやすい理由は、
担当者やツールではなく、「構造」が設計されていないことにあります。
施策を増やす前に、
- 目的
- 行動
- データ
- 改善
をどうつなぐかを整理することで、
製薬デジタル施策は「やっている状態」から「成果につながる状態」へと変わります。
次の記事では、この構造を前提に「改善」をどう考えるべきかを整理します。