■ 設計とは何か(定義)
本記事で扱う「設計」とは、
Webサイトやシステムを作ることそのものではありません。
製薬デジタル施策における設計とは、
- 何の目的で
- 誰に対して
- どのような行動を想定し
- その結果をどう評価・活用するか
を、施策の実行前に構造として整理しておくことを指します。
設計があることで、個々の施策やコンテンツは「単発」ではなく、「意味を持った一連の活動」として機能します。
■ なぜ製薬デジタル施策では「設計」が重要なのか
製薬企業のデジタル施策は、以下の特徴を持っています。
- 情報の正確性・信頼性が強く求められる
- 医師ごとに関心・専門・関与度が異なる
- 単発ではなく、中長期での関係構築が前提になる
この環境下では、
- 流行っている施策をとりあえず実施する
- できるところからWebやメールを始める
といった進め方では、施策同士がつながらず、成果が蓄積されません。
設計は、「今やる施策」だけでなく、
その後に何が起きるかまで含めて考えるための前提条件になります。
■ よくある誤解:設計=資料作り・要件定義
設計という言葉から、次のようなものを想像されることがあります。
- 分厚い設計書
- 初期フェーズだけの作業
- システム部門や外注先の仕事
しかし、製薬デジタル施策における設計は、もっと実務に近いものです。
例えば、
- このコンテンツは誰の、どんな行動につながるのか
- Webセミナーや講演会の申込後、何が起きるのか
- その行動は、次の施策にどう活かされるのか
こうした問いに答えられる状態を作ること自体が設計です。
■ 設計がない状態で起こりがちな問題
設計が不十分な場合、次のような状況が生まれます。
- 施策ごとの目的が曖昧になる
- KPIが後付けになり、評価できない
- コンテンツが増えても活用されない
- 担当者が変わると運用が止まる
これらは「運用が悪い」のではなく、
そもそも設計されていないことによる必然的な結果です。
■ 設計で考えるべき主な要素
製薬デジタル施策の設計では、少なくとも次の要素を整理します。
- 対象となる医師像(属性・関心・関与度)
- 想定する行動(閲覧、申込、参加、反応)
- 利用するチャネル(会員サイト、メール、Webセミナー等)
- 取得する行動データ
- 成果の判断軸(KPI・評価観点)
重要なのは、これらを個別ではなく、つながりとして考えることです。
■ 設計は「最初に固めるもの」ではない
設計は、一度決めたら終わりではありません。
- 実際の行動データを見て調整する
- 想定と違う反応があれば見直す
- 施策の追加に合わせて更新する
といった形で、運用とセットで育てていくものです。
そのため、設計は「ドキュメント」ではなく、
考え方や判断基準として共有されていることが重要になります。
■ 次に読むべきテーマとの関係
本記事で整理した「設計」という考え方は、次の記事につながります。
- なぜ施策を続けても成果が出ないのか(構造の問題)
- 運用とは何か(更新作業ではない理由)
- 改善とは何を指すのか(数字操作ではない理由)
これらはすべて、「設計があるかどうか」で見え方が変わります。
■ よくある質問(Q&A)
Q. 小規模な施策でも設計は必要ですか?
A. 必要です。規模の大小ではなく、「次につながるかどうか」が設計の有無を分けます。
Q. 設計はマーケティング部門だけで考えるものですか?
A. いいえ。会員サイト、コンテンツ、運用に関わる関係者で共有されていることが重要です。
■ まとめ
製薬デジタル施策における設計とは、
施策を「やるか・やらないか」を決めるためのものではありません。
施策・コンテンツ・データ・評価を、
一つの流れとして機能させるための前提条件です。
次の記事では、設計がない状態で起こりやすい失敗構造について、さらに具体的に整理していきます。