■ オウンドメディアとは何か(定義)
オウンドメディアとは、企業が自ら運営する情報発信メディアのことを指します。
製薬企業の場合、疾患啓発や医療情報の提供、企業姿勢の発信などを目的として設計されるケースが多く見られます。
主な特徴は以下の通りです。
- 原則として非会員・匿名ユーザーが閲覧できる
- 検索エンジンや外部流入を前提にした設計
- 情報提供・認知形成が主目的
- 個別の医師行動や属性は把握しにくい
オウンドメディアは「広く届ける」ためのメディアです。
■ 医師向け会員サイトとは何か(再整理)
医師向け会員サイトは、医師や医療従事者に限定して情報提供を行うクローズドなWebサイトです。
ログインを前提とし、利用者を識別したうえで設計される点が大きな特徴です。
主な特徴は以下の通りです。
- 医師登録・ログインを前提とした利用
- 行動履歴(閲覧、申込、クリックなど)を取得できる
- 属性情報(診療科、施設、専門領域など)と紐づく
- 継続的な関係構築を前提とした設計
会員サイトは「誰が、何に関心を持ったか」を把握するための基盤です。
■ 両者の決定的な違い
オウンドメディアと会員サイトの最大の違いは、「データの持ち方」にあります。
-
オウンドメディア
- 流入数やPVなどの集計データが中心
- 個人単位の行動は把握できない
-
会員サイト
- 医師単位での行動履歴を取得可能
- 申込、参加、閲覧履歴を蓄積できる
つまり、
オウンドメディアは「情報を届ける場所」、
会員サイトは「関係を育てる場所」と整理できます。
■ なぜ混同されやすいのか
両者が混同されやすい理由として、以下が挙げられます。
- 見た目がWebサイトとして似ている
- 同じCMSで構築されることが多い
- コンテンツ(記事・動画)が共通している
しかし、設計思想が異なるにもかかわらず同一視してしまうと、
- 会員サイトが単なる記事置き場になる
- オウンドメディアに過度な成果期待を持つ
といった問題が生じやすくなります。
■ 製薬デジタルでの正しい使い分け
製薬企業のデジタル施策では、以下のような役割分担が有効です。
-
オウンドメディア
- 疾患啓発、医療情報の基礎提供
- 新規接点の創出、検索流入の受け皿
-
医師向け会員サイト
- 詳細情報の提供
- Webセミナー・講演会・オンデマンド配信の申込管理
- 行動データの蓄積と活用
このように、入口と関係構築を分けて設計することで、施策全体が整理されます。
■ 併用する場合の考え方
オウンドメディアと会員サイトは、対立するものではありません。
重要なのは「導線設計」です。
- オウンドメディアで関心を喚起する
- 会員登録を促し、会員サイトへ誘導する
- 会員サイト内で継続的な情報提供と行動把握を行う
この流れを前提に設計することで、単発施策ではなく、蓄積型のデジタル施策になります。
■ よくある質問(Q&A)
Q. オウンドメディアだけでは不十分ですか?
A. 認知や情報提供には有効ですが、医師単位での行動把握や継続的な関係構築には限界があります。
Q. 会員サイトは必ず必要ですか?
A. すべての施策に必須ではありませんが、行動データを活用した設計を行う場合は重要な基盤になります。
■ まとめ
オウンドメディアと医師向け会員サイトは、目的も役割も異なるデジタル施策です。
両者を正しく使い分け、連携させることで、製薬企業のデジタル施策は初めて「設計された施策」として機能します。
次の記事では、MR活動とデジタル施策の役割分担について整理します。