戻せなくなる事故の型
「前の状態に戻したい」は、だいたい次のどれかで起きます。
- 上書き:直したつもりが、別の段落まで消していた。誰かが直した内容の上から、古い原稿を貼ってしまった
- 誤削除:似た名前の別のページを消した
- 差し替えたあとの問題:新しい内容に替えたら、数字の誤りや表示の崩れが見つかった
- 判断の取り消し:公開したあとで、「やはり前の表現に戻す」と決まった
どの場合も、戻す先の内容がどこかに残っていなければ、戻すことはできません。残っていなければ、記憶や、たまたま撮っておいた画面や、手元の古い原稿から作り直すことになります。
バックアップと版は、別のもの
「サーバーのバックアップを取っているから大丈夫」と考えることがあります。バックアップと、ページの版は、役割が違います。
| バックアップ | 版 | |
|---|---|---|
| 主な目的 | システムやデータ全体の復旧 | 個々のページを、以前の内容へ戻す |
| 取る時点 | 決まった周期で取ることが多い | 残したいと決めた時点 |
サイト全体を戻す方式のバックアップでは、1ページの誤りを直すために全体を戻すと、ほかのページの正しい更新まで消えます。1ページだけを戻したいなら、ページの単位で版が要ります。
版を残す節目を決める
版を自動で残す仕組みもあれば、残したい時点で人が残す仕組みもあります。人が残す場合は、いつ残すかを決めておかないと、残っていてほしいときに限って残っていません。
節目の例です。
- 大きく書き換える前
- 差し替えを予約する前
- 公開した直後(公開した内容そのものを記録として持つ)
- 規制や契約に関わる表現を変える前後
- 担当者が替わる前
版には、何のための版かを一言添えます。「2026年秋の改訂前」「価格改定前」。日付だけでは、後から見てどれに戻せばよいか分かりません。
状態の記録と、内容の記録を分けて考える
ページの「記録」には、二つの種類があります。
状態の記録
いつ、誰が、確認を依頼し、承認し、公開したか。経緯の記録です。
内容の記録
その時点で、ページに何が書かれていたか。本文そのものの記録です。
「誰がいつ公開したか」が分かっても、そのとき何が書かれていたかは分かりません。逆に、内容が残っていても、誰がそれを承認したかは分かりません。後から説明を求められる業務では、両方が要ります。自分たちの仕組みで、どちらがどこに残るのかを確かめておきます。
ページ以外のもの
ページの本文の版を残していても、ページの中で使っている画像やPDFは別です。同じ名前で画像を上書きしたら、古い画像は残らないかもしれません。ページを前の版に戻したとき、画像だけが新しいまま、ということが起きます。
差し替える可能性のある資料や画像は、上書きする前に手元に控えを取るか、新しい名前で置くかを決めておきます。
戻す前に確かめること
戻すことにも、事故はあります。
- 戻す先の版は正しいか:いくつかある版のうち、どれに戻すのか。版の内容を開いて確かめる
- 戻すと消えるものはないか:その版のあとに入った正しい修正(訂正、担当者名の変更など)も消える。消えるものを控えてから戻す
- 戻したあと、どの状態になるか:戻した内容がすぐ公開されるのか、もう一度承認を通すのか
- 関係するページはないか:同じ時期にそろえて変えたほかのページも、一緒に戻す必要があるか
戻したあとは、今の版を残しておきます。「何から、何に戻したか」も記録になります。
writeWiredでは
writeWiredでは、内容の記録と状態の記録を、別の画面で持っています。
コンテンツ変更履歴(内容の記録)
- 出力の操作をした時点のコンテンツの内容が、版として残る
- メモを添えて出力できる
- 過去の版の内容を確認し、読み込んで戻せる
- 過去の版を読み込むと、内容とあわせてステータスも版の時点に戻る
- 版は自動では残らない。残したい時点で出力する、手動の版管理
- 版と版の差分を表示する機能はなく、比較は目視で行う
ステータス変更履歴(状態の記録)
- コンテンツの状態(制作中・確認依頼・確認中・掲載可)が、いつ・誰の操作で変わったかを、時系列で自動で記録する
版は人が残す仕組みなので、節目を決めておくことがそのまま効きます。大きく書き換える前、差し替えを予約する前、公開した直後というように、決めた時点でメモを付けて出力します。
戻す前の確認のうち、戻す先の版は、過去の版の内容を開いて確かめます。版と版の差分を表示する機能はないので、違いは目視で比べます。戻したあとの状態は、内容とあわせて版の時点のステータスに戻ります。読み込んだあとは、ステータスを確かめてから次の操作に進みます。
ライブラリの画像やファイルは、同じ名前で上書きすると旧版が残りません。上書きするかどうかは、アップロードのときに指定します。ページの版と一緒に戻したい画像は、上書きせずに新しい名前で置くか、手元に控えを取っておきます。
サーバー全体のバックアップは、ここで扱う版とは別のものです。