同じ文言は、コピーで増えていく

最初は1ページでした。問い合わせ先の電話番号、「表示価格は税込です」という注記、「このページは医療関係者向けの情報です」という断り書き。

次のページを作るとき、前のページを複製して作ります。注記も一緒に付いてきます。別の担当者は、手元にあったページから文言を写します。こうして何年かたつと、同じ文言が何十ページにも載っています。

写すたびに、少しずつ違いも生まれます。誰かが一つのページだけ句読点を直した。別の人は、少し言い回しを変えた。見た目はほとんど同じでも、中身は何通りにも分かれています。

直し漏れは、場所が分からないことから起きる

電話番号が変わる。社名が変わる。規程が改まり、注意書きの言い回しが変わる。そのとき担当者は、思い当たるページを開いて直していきます。

思い当たらなかったページは、そのまま残ります。同じ文言がどこに載っているのかを一覧にしたものは、たいていどこにもありません。文言を検索して探しても、少しずつ違うコピーは、文言をそのまま検索しても引っかかりません。

そうして、古い電話番号が3ページだけ残り、1年後に誰かが気づきます。担当者の注意が足りなかったのではありません。同じものが何十か所にあって、その場所を誰も知らない、という構造から起きています。

何を1か所にまとめるか

同じ文言を1か所に置き、各ページはそれを表示するだけにすれば、直すのは1か所で済みます。ただ、何でもまとめればよいわけではありません。

例 まとめるか 理由
問い合わせ先・電話番号 まとめる 変わるときは、すべてのページで一斉に変わる必要がある
共通で使うと決めた注意書き まとめる 同じ文言を複数のページで保つ必要があり、古い版が残ると困る
期間中の全ページに出すバナー まとめる 期間が終わったら、一斉に外す
製品ごとに違う注意事項 製品ごとにまとめる 同じ製品のページでは同じだが、製品が違えば中身も違う
ページごとの導入文 まとめない ページに合わせて書き分けるもの

目安は二つです。すべての場所で同じでなければ困るか。変わるときに、一斉に変わってほしいか。どちらにも当てはまるものが、まとめる候補です。

「共通の部品」と「書き始めのひな形」は別物

同じものを何度も使う方法には、性質の違う二つがあります。

共通の部品
元は1か所にあり、各ページはそれを参照して表示します。元を直せば、参照しているすべてのページが変わります。

書き始めのひな形
ひな形を複製して、ページに貼り付けます。貼り付けた時点で、そのページのものになります。ひな形をあとから直しても、貼り付け済みのページは変わりません。

どちらも役に立ちます。書き出しをそろえたいだけで、あとはページごとに手を入れていくものは、ひな形が向いています。一斉に変わってほしいものは、共通の部品にします。

この二つを取り違えると、「ひな形を直したのに、ページが直っていない」ということが起きます。ひな形は、そういうものです。

まとめる前に、いまある場所を洗い出す

すでに何十ページにも散っている文言を、共通の部品に置き換えるときの手順です。

  1. 文言の一部で、サイト全体を検索する。言い回しの違うコピーも拾えるように、短く特徴的な語句でも探す。古い電話番号のような、以前の版の文言でも探す
  2. 見つかったページを一覧にする。ページごとに、どの版の文言が載っているかも控える
  3. 正しい文言を一つに決める
  4. 共通の部品を作り、各ページの該当箇所を、その部品に置き換える
  5. 置き換えが済んだら、もう一度検索して、残っているコピーがないかを確かめる

置き換えが済めば、以後の修正は部品の1か所で済みます。どのページで部品を使っているかを控えておくと、次に直すときに影響の範囲が分かります。

まとめすぎると、今度は動かせなくなる

共通の部品にも、弊害はあります。

  • 200ページで使われている部品は、1文字直すだけでも影響が大きく、誰も直したがらなくなる
  • ある部署だけの事情で部品を直したら、ほかの部署のページまで変わった
  • 例外に対応するうちに、部品の中身が条件分けだらけになる

部品は小さく、一つの目的に絞ります。部品ごとに、直してよい人を決めておきます。直す前には、どのページで使われているかを確かめます。

サイト全体に出る部分は、別に持ち主を決める

ヘッダーのメニュー、フッター、コピーライトのように、サイトのすべてのページに出る部分もあります。ここは特定のページの部品ではなく、サイトそのものの一部です。変えるときは、誰が決め、誰が直すのか。ページの担当者とは別に、持ち主を決めておきます。

writeWiredでは

writeWiredでは、一斉に変わってほしい部品と、書き始めのひな形を、別の仕組みとして持っています。

組み込みコンテンツ(共通の部品)

  • 複数のページで共通に使う部品を、ひとつのコンテンツとして持つ
  • 修正すると、参照しているすべてのページに反映される
  • どのコンテンツから使われているか(参照元)を、一覧で確認できる
  • ページの側では、組み込みコンテンツをブロックとして差し込む

プリセット(書き始めのひな形)

  • エディタから呼び出して挿入する、HTMLパーツのひな形
  • 挿入した時点でひな形から切り離され、以後の編集は挿入先で行う
  • ひな形をあとから変更しても、挿入済みのパーツには影響しない

「ひな形を直したのに、直っていないページがある」ときは、そのページに入っているのがプリセットから挿入したパーツかどうかを確かめます。プリセットで挿入した箇所は、仕組みのとおり変わりません。

洗い出しには、コンテンツの検索と一覧を使います。本文中の文字列で、全コンテンツを横断して検索できます。散ったコピーを探し、見つかったページの該当箇所を、組み込みコンテンツに置き換えていきます。置き換えたあとは、組み込みコンテンツの参照元の一覧が、「どこに載っているか」の答えになります。直す前に参照元を確かめる、という使い方もできます。

ヘッダーのナビゲーション、フッター、コピーライトのような、サイト全体で共通の固定部品は、サイトフォーム入力で持ちます。ページ側のコンテンツとは分けて、サイト単位で入力します。

何をまとめるかの判断と、部品ごとに直してよい人を決めることは、この仕組みの外側にある運用です。

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